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プルサーマルについて各紙の社説
 no-moxのメーリングリストから各紙の社説を拾ってみた。
毎日新聞 2009年11月6日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20091106ddm005070005000c.html


社説:プルサーマル 課題視野に安全第一で

 「利点」と「問題点」をはかりにかけると、現時点では圧倒的に問題点が多い。日本が原子力政策の柱としてきた「核燃料サイクル」には、課題が山積している。

 その政策の一端を担う「プルサーマル」が、九州電力の玄海原子力発電所3号機で始動した。使用済み核燃料から取り出したプルトニウムをウランと混ぜた「MOX燃料」を、通常の原発で燃やす。当初の予定から10年遅れた国の計画の第1号だ。

 海外で実施されているとはいえ、これまでとは異なる燃料を燃やすだけに、まずは安全性に十分注意して進めてほしい。その上で、日本の原子力政策の課題を改めて検討するきっかけにもすべきではないか。

 核燃料サイクルの「本命」は、使用済み核燃料を再処理し、取り出したプルトニウムを「高速増殖炉」で燃やすことだ。高い効率で資源が再利用でき、資源の少ない日本に好都合といわれてきた。

 ところが、サイクルの両輪を成す高速増殖炉と再処理工場は、度重なるトラブルで、どちらも先行きが不透明なままだ。

 高速増殖炉の原型炉「もんじゅ」は、95年に冷却剤のナトリウム漏れ事故を起こして以来、停止している。改造工事の後もトラブルが続き、再開は大幅に遅れている。青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場でも、次々と問題が生じ、完成予定が延期され続けている。

 プルサーマルは核燃料サイクルの「脇役」だった。「もんじゅ」のトラブルで重要性が増したが、資源の再利用の効果は小さい。しかも、緊急時に出力を抑える制御棒の効きが通常の燃料より悪いとも言われ、より慎重な安全対策が求められる。

 こうした状況の中で、コストをかけて実施されるプルサーマルには、既存のプルトニウムを消費する意味合いがある。日本は国内外で再処理した核分裂性プルトニウムを約28トン保有している。核兵器の材料ともなるだけに減らす必要があるからだ。

 今後、プルサーマルは各原発で導入が予定されている。しかし、一つの原発でトラブルが起きれば、全国に影響が及ぶ恐れがある。そうした状況で再処理を始めると、さらにプルトニウムが蓄積していくことにもなりかねない。再処理の後に残る高レベル放射性廃棄物の最終処分場の選定も、難航するのは必至だ。

 温室効果ガス削減を視野に、鳩山政権は原子力の利用に積極的な姿勢を見せている。しかし、核燃サイクルを維持している国は限られ、米国でもオバマ政権が凍結している。核不拡散に向けた核燃料の扱いなど世界的情勢をみつつ、日本も柔軟に検討していく必要があるだろう。
【関連記事】

    * 社説:プルサーマル 課題視野に安全第一で
    * 玄海原発:国内初のプルサーマル起動 9日に発電開始
    * 玄海原発:国内初プルサーマル発電へ…3号機、5日に起動
    * 玄海原発:MOX燃料取り付けを開始 九州電力

毎日新聞 2009年11月6日 東京朝刊





asahi.com(朝日新聞社):社説 2009年11月6日(金)
http://www.asahi.com/paper/editorial20091106.html


プルサーマル―運転は厳しい目のもとで

 国内初のプルサーマルが、いよいよ動き出した。

 原発の使用済み燃料から得られるプルトニウムをウランと混ぜてMOXという燃料をつくり、これを普通の原発で燃やして発電する方法である。

 九州電力が、佐賀県の玄海原発でMOX燃料を取りつけた3号機の原子炉を起動させた。順調なら12月初めに営業運転に入る。来年は、四国電力の伊方原発や中部電力の浜岡原発でも始まる予定だ。

 当初の計画から10年も遅れてのスタートである。英国の核燃料企業によるMOX燃料のデータ改ざんや東京電力の原発トラブル隠し、JCO臨界事故など不祥事や事故で原子力への不信感が強まり、各原発の地元の理解がなかなか得られなかった。

 プルサーマルが60年代に始まった海外では、これまで深刻なトラブルは起こっていない。とはいえ、日本は初心者だ。どんな小さなトラブルの芽も見過ごさぬよう、電力会社は安全管理を強めなくてはならない。

 プルサーマルの始動に立ち会う鳩山政権は、これまでの原子力安全行政を見直すなかで、原発に対する監視の目を強め、運転の透明性を高める工夫をしてほしい。そうでないと、原発への信頼感は定着しないだろう。

 一方、プルサーマルの背景には、プルトニウムの在庫を減らさないといけない事情がある。

 プルトニウムは兵器にも使えるため、在庫が増えれば核武装の意図を疑われかねない。核拡散やテロの心配も無視できない。MOX燃料にして消費すれば、その不安を小さくできる。

 いま、日本のプルトニウムは、再処理の委託先の英仏に24トンあるほか、国内にも4トン余りある。プルサーマルでこれらの在庫を燃やしていくことは、「余分なプルトニウムをもたない」という日本の国際公約に沿う。

 電力業界は、15年度までに全国16〜18基の原発にプルサーマルを広げる計画だ。実現すれば、年間6トン前後のプルトニウムを消費できるという。

 ただ、今回のプルサーマル始動は、プルトニウム利用の第一歩ととらえるべきではない。

 国内で商業再処理を進めて新たなプルトニウムを手にし、「利用」の本命である高速増殖炉を動かす――。こうした本格的な核燃料サイクル政策の是非は、プルサーマルによる在庫の「消費」とは切り離して考えるべきだ。

 使用済み燃料からプルトニウムを取り出して再び使うのか。それとも原発燃料の使用は1回にとどめ、プルトニウムを取り出さずに処分するのか。

 鳩山政権が引き続き原子力をエネルギー供給の柱の一つと考えるのなら、この問題で国民の合意点を見いだす努力をしなくてはなるまい。




NIKKEI NET(日経ネット):社説・春秋−日本経済新聞の社説、1面コラムの春秋
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20091106AS1K0600706112009.html


社説2 プルサーマルを着実に回そう(11/7)

 原子力発電所でプルトニウムとウランを混ぜて燃やす国内初のプルサーマル発電が九州電力玄海原発で動き出した。エネルギー資源の大半を輸入する日本では、原発の使用済み核燃料を再利用する「核燃料サイクル政策」は避けて通れない。

 中国やインドなど新興国の原発建設ラッシュなどで、中長期的にウラン資源の奪い合いも見込まれる。日本にとって、ウランを有効利用できるプルサーマルの意義は増す。電力業界は2015年度までに全国16〜18基に広げる計画で、それを着実に進める必要がある。

 プルサーマルは使用済み核燃料から取り出したプルトニウムをウランと混ぜ、これを通常の原発で燃やして発電する方式だ。海外では1960年代からフランス、ドイツ、米国などの50基以上で実績がある。

 日本は97年に計画を閣議了解したが、99年に関西電力の燃料データの改ざんが発覚し、02年には東京電力のトラブル隠しも明らかになり、その都度先送りされてきた。

 電力会社の安全にかかわる情報の管理や公開の姿勢が甘く、地元自治体の信頼を裏切ったことが「空白の10年」の大きな原因になった。

 玄海原発に続き、10年度にかけて四国電力伊方原発、中部電力浜岡原発でもプルサーマル発電が始まる。電力会社は安全性や意義を地元に丁寧に説明するとともに、情報公開を徹底し、過去の延期と同じ過ちを繰り返してはならない。

 計画の遅れにより、日本は使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを28トン以上(うち24トンは海外委託分)も持つ。これは原爆を3000発以上作れる量に相当する。政府は余分なプルトニウムを持たないと国際公約しており、それを守るためにもプルサーマルは重要だ。

 米国など使用済み核燃料を地中に直接埋める方式を採る国もある。しかし、日本では処分場の確保が難しい。再処理路線の方が現実的だ。

 プルトニウムを燃やす原子炉の本命とされる高速増殖炉は、原型炉もんじゅが95年のナトリウム漏れ事故から止まったままで、商用炉の実現は50年ごろになる見通しだ。それまでの「つなぎ」として、プルサーマルの役割は大きい。
社説・春秋記事一覧




プルサーマル 安全を心がけ軌道に乗せよ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20091106-OYT1T01327.htm


プルサーマル 安全を心がけ軌道に乗せよ(11月7日付・読売社説)

 ウラン資源を有効活用する核燃料サイクルがようやく一歩を踏み出す。安全を確認しながら着実に推進すべきだ。

 佐賀県の九州電力玄海原子力発電所3号機で、使用済み燃料を再処理したプルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)を燃料に使う「プルサーマル」の試運転が始まった。

 問題がなければ、12月2日に国内初の営業運転に入る。

 プルサーマルは、核燃料サイクルの柱となる高速増殖炉の実用化に向け、技術の確立などの観点から極めて重要だ。

 核拡散を防ぐため、余剰なプルトニウムを保持しないという、安全保障面からも欠かせない政策といえよう。

 鳩山内閣が掲げる温室効果ガス排出の大幅削減を実現するためにも、原発の活用は重要だ。政府は積極的に支援する必要がある。

 プルサーマルは当初、1999年に関西電力と東京電力が先陣を切る予定だった。

 しかし、関電が燃料の加工を発注した英国企業で検査データの改ざんが発覚、東電でも定期点検記録の改ざんがわかり、いずれも計画は一時的に頓挫した。実現は10年遅れ、九電が先頭に押し出された形となった。

 当初は、10年度までに国内の原発16〜18基で実施する計画だった。ところが、国の許可や地元の了解を得た原発が半数程度にとどまったことで、電気事業連合会は今年6月、計画達成を15年度まで最長5年間延期すると発表した。

 高速増殖炉計画は、原型炉の「もんじゅ」が95年のナトリウム漏れ事故の後、14年間運転停止を余儀なくされている。

 実用化は2050年ごろの見通しで、それまでの間は、プルサーマルが計画を担うことになる。

 反原発派は依然、プルサーマルの安全性を疑問視している。しかし、普通の原発でもウランの一部がプルトニウムなどに変化し、プルサーマルと似た現象が起きているのが実態である。

 海外では60年代から実施され、大きなトラブルもなく運転されている。電力各社はこうした点を丁寧に国民に説明すべきである。

 九電に続き四国、中部、関西の3電力が10年度中にプルサーマルを予定している。電源開発が青森県に建設中の大間原発では、全燃料にMOXを用いる「フルMOX」運転を14年に開始する計画だ。

 事故や不具合で信頼を失わないよう、電力各社は慎重な運転を心がけて欲しい。
(2009年11月7日01時36分  読売新聞)




プルサーマル 前のめり導入は疑問だ(11月6日)−北海道新聞[社説]
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/198461_all.html


プルサーマル 前のめり導入は疑問だ(11月6日)

 使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを再利用する国内初のプルサーマル発電が始動した。

 九州電力が玄海原発3号機(佐賀県)で、プルサーマルの調整運転に着手した。国の最終検査を経て営業運転に移行する。

 国や電力各社は核燃料資源の有効活用につながるとして、各地の原発へのプルサーマル導入を順次予定している。

 しかし、人体への毒性が強いプルトニウムを燃料に使うプルサーマル計画については、安全性への懸念から反対意見は根強い。地元了解が進まないことなどから、計画が遅れているのが実情だ。

 また、プルサーマルを組み入れた核燃料サイクル計画は、中核施設となる青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場でトラブルが相次ぐなど、見通しは不透明だ。

 核廃棄物の処理体制が確立されていない中で、このまま前のめりにプルサーマルを推し進めていいのか。

 国や電力各社は、玄海原発の運転状況を十分に見極め、慎重に対処してほしい。九州電力には安全の徹底はもとより、十分な情報公開を求めたい。

 プルサーマルは使用済み核燃料から取り出したプルトニウムをウランと混ぜて加工した燃料(MOX燃料)を通常の原発で使用する。

 MOX燃料は、原子炉の制御がウラン燃料より難しいという特性が問題視されている。九州電力は「安全性には十分な余裕がある」としているが、予断を排して運転状況を検証すべきだ。

 プルサーマル計画は、当初は2010年度までに全国で16〜18基の実施を予定していた。

 ところが、関西電力や東京電力でデータ改ざんやトラブル隠しなどが続発。原発不信の深まりで、目標達成時期は5年先延ばしになった。

 道内では、北電が地元了解を得て10年度から泊原発3号機でプルサーマル実施を予定していたが、フランスでのMOX燃料の製造に予想以上の時間がかかるとして、導入時期を12年春以降に延期している。

 九州電力に次いで、来年には四国、中部電力でもプルサーマル発電が始まる見込みだ。

 一方で、使用済みMOX燃料の処理法は、これから検討するという。これでは「見切り発車」と批判されても仕方がない。

 民主党は、国際公約に掲げた温室効果ガスの25%削減には原発推進が必要との立場だが、原子力一辺倒でいいのか。

 技術革新を促し、自然エネルギーを組み込んだ安全な電力供給システムの構築こそが求められている。




信濃毎日新聞[信毎web] プルサーマル 情報公開を徹底せよ
http://www.shinmai.co.jp/news/20091106/KT091105ETI090009000022.htm


プルサーマル 情報公開を徹底せよ 11月6日(金)

 佐賀県の九州電力玄海原発3号機で、国内初のプルサーマルが始まった。

 使用済みの核燃料から取り出したプルトニウムとウランを混ぜたMOX燃料を、一般の軽水炉で燃やす方法である。

 プルトニウムは毒性が強く、核兵器にも転用できる。地元住民には不安が根強い。

 国と電力会社には、安全確保を最優先し、情報開示を徹底していく姿勢が求められる。

 プルサーマルは、国が核燃料サイクル政策の根幹と位置付ける計画である。原発を運転してできたプルトニウムが再利用でき、資源の乏しい日本にはメリットが大きい、というのがその理由だ。

 けれども、90年代末から2000年初めにかけて原発のトラブル隠しや事故が相次ぎ、約10年遅れのスタートになった。九州電力を皮切りに来年以降、中部電力、四国電力と各社が実施に入る。

 核拡散を防ぐために、国際機関が厳しく監視するプルトニウムである。余分にため続けると、国際的に批判を招きかねないという懸念もあった。

 プルサーマルの開始に、地元では抗議活動が行われている。

 MOX燃料は、制御が難しいとされる。ウラン燃料用の原子炉で、もともとは想定していなかった燃料を使うことへの不安もある。電力会社は丁寧に説明し、信頼を得るしかない。

 不信を招いたのは、原発の検査記録の改ざんなど、電力会社側の対応に問題が続いたからだ。

 「海外は60年代から実施している」と、いくら強調しても、受け入れられないだろう。自治体への連絡を迅速にすることも必要だ。

 プルサーマルに関連して平野博文官房長官は、原発重視の姿勢を示している。国際公約の温室効果ガス削減を進めるには、発電時に二酸化炭素(CO2)を出さない原発に頼らざるを得ない面がある。

 しかし課題が山積している。

 一連の核燃料処理を、国内で完結させる“輪”が、いまだにつながらない。

 青森県の再処理工場はトラブルが相次ぎ、完成が延び延びになっている。玄海原発のMOX燃料は、フランスに廃棄物を運んで加工したものだ。

 高レベル放射性廃棄物を埋める最終処分場の見通しも立たない。MOX燃料を燃やした後はどうするのかも決まっていない。

 新政権は核燃料サイクル政策にどう取り組むのか、将来像をはっきり示すのが先決だ。




新潟日報社 netpark
http://www.niigata-nippo.co.jp/editorial/20091106.html



プルサーマル 新たな将来像を描く時だ
 国内初のプルサーマルが5日、佐賀県の九州電力玄海原発で始まった。
 プルサーマルは、使用済み核燃料から取り出したプルトニウムとウランの混合燃料(MOX燃料)を一般の原発で使う。商用原発の稼働開始から40年以上を過ぎて、日本の原発は新たな時代に入ったことになる。
 まず望みたいのは安全な運転である。プルサーマルの安全性には専門家の間でも懸念の声がある。既存の原発はMOX燃料の使用を前提に設計されたものでないことなどが理由だ。
 先行する海外の原発では深刻なトラブルが発生していないという指摘もあるが、国内では未体験の事象だということを肝に銘じてもらいたい。
 事故があれば地域住民の不安につながる。今後プルサーマルを開始する四国電力など他電力会社の計画にも影響しよう。プルサーマルは閣議了解から実現まで10年以上かかった。東京電力の原発トラブル隠しなど不祥事頻発が要因だったことを忘れてはいけない。
 一方で、この機会にあらためて、核燃料を再利用する核燃料サイクル政策全体の将来像について考えてみるべきではないか。プルサーマルが本格実施に入ったといっても、先行きの不透明感が否めないからだ。
 試運転中の日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)は相次ぐトラブルに見舞われている。核燃料サイクルの主役とされる高速増殖炉開発は、1995年の「もんじゅ」ナトリウム漏れ事故以降、長期間の足踏み状態が続く。
 電気事業連合会は、当初2010年度までに全国16〜18基でプルサーマルを実施するとしていた目標を15年度までに先送りした。だが、それだけでは十分ではないだろう。現状を踏まえ、核燃料サイクル政策自体の妥当性を論議する時ではないか。
 使用済み核燃料の再処理は、直接地中に埋めて処分するよりコスト高となり、ウランの節約効果は1〜2割程度にとどまる。経済産業省はこんな試算をしている。核兵器に転用できるプルトニウムの大量保有が国際的な理解を得られるかという問題もある。
 政権交代が実現し、「原子力利用に着実に取り組む」とする民主党と「脱原発」を掲げる社民党の連立内閣が発足した。現状を追認するのではなく、国民にとってより良い原発の在り方について議論を仕切り直しし、新たな将来像を描く好機と思える。
 小沢鋭仁環境相は九電川内原発(鹿児島県)の環境影響評価をめぐり、温室効果ガス抑制へ原発活用を求める初の意見を示した。原発の利点を取り上げるだけでなく、内閣がどう原子力政策に向き合うかも明確にするべきだ。

新潟日報2009年11月6日





論説:〜プルサーマル始動 高浜の安全性 十分なのか〜 福井新聞
http://www.fukuishimbun.co.jp/modules/news6/

(リンク先で11/6をクリック)

プルサーマル始動 高浜の安全性 十分なのか

 一般の原発でプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を燃やす国内初のプルサーマル発電が九州電力玄海原発3号機で事実上のスタートを切った。電力業界として計画当初より実に10年遅れ。国策である核燃料サイクルの一角がようやく動きだした。しかし、今後スムーズに安全・安定稼働を続けられるか、懸念材料もある。

 本県では来年以降に関西電力高浜原発3、4号機で計画されている。これまでも国や電力事業者は住民説明会を開いてはいるが、地元や県民理解は十分とはいえない。一層丁寧な説明と情報公開が必要であろう。

 プルサーマル計画は、少資源国として有効利用を図る核燃料サイクルの重要な位置付けであり、核兵器の材料にもなるプルトニウムは保有しないという国の方針でもある。使用済み燃料を再処理してプルトニウムを取り出し、これにウラン燃料と混ぜ合わせMOX燃料として原発で再利用する。県内では既に日本原電敦賀1号機と関電美浜1号機で試験的に燃やし、健全性などを実証している。

 他県よりプルサーマルに対する県民の認知度は比較的あり、県や高浜町では既に98年に事前了解した。だが99年のMOX燃料のデータ捏造(ねつぞう)発覚や美浜3号機の蒸気噴出事故などで信頼を損なった。他県でも地元了解が遅れ、電事連は当初10年度までに16―18基の原発でプルサーマルを実施する計画だったが、15年度目標に後退させた。

 さらに高浜原発で使用する予定の16体のうち4体で不適合になったが、関電は詳細データは仏メーカー側から得られていない。先陣を切った玄海原発もいわば、ぶっつけ本番であり、MOX燃料の安全性の根拠を求める抗議の動きが出ている。後続の四国電力伊方原発や中部電力の浜岡原発などでも同様の動きが予想される。国や電力側は稼働中のトラブル防止はもちろんだが、でき得る限り情報開示に努めるべきであろう。

 プルサーマル計画は60年代から仏、独など世界9ヵ国で実施され実績もある。しかし、核燃料サイクルを原子力政策の旗印に掲げるわが国の場合、それに不可欠な青森県六ケ所村の再処理工場が試験運転段階でトラブルが相次ぎ、先行き不透明だ。

 全国の原発で出る使用済み燃料は毎年約1千トンといわれる。再処理工場の貯蔵能力は既に限界、各発電所も余裕がない状況にある。肝心のプルトニウムを燃やす高速増殖炉原型炉もんじゅもナトリウム漏れ事故で運転停止状態が続く。さらに高レベル放射性廃棄物の最終処分地はまだどこかも決まっていない。

 このような状況下でプルサーマルは当面、つなぎとして推進せざるを得ないが、いびつなサイクルである。また燃料輸送の安全確保や施設の耐震性、トラブルの大半を占めるヒューマンエラー対策など課題は多い。

 国は核燃料サイクル推進へ向け06年、受け入れに同意した地元自治体に約60億円を出す交付金制度を創設したが、今年3月末で打ち切った。今後も果たして自治体の理解を得られながら推進していけるのか。民主党の原子力政策も明確ではない。




京都新聞 社説
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20091106.html


プルサーマル  課題残して動きだした 

 ウランにプルトニウムを混ぜた混合酸化物(MOX)燃料を一般の原子力発電で燃やす国内初のプルサーマルが5日、九州電力の玄海原発3号機(佐賀県)で事実上動きだした。
 政府が推進する「核燃料サイクル」の実現に向け、当初計画から約10年遅れて新たな一歩を踏み出した。とはいえ、導入に対して国民の信頼は得られてはいない。「プルトニウムの灯」の定着には、安全性の確保はもちろん、徹底した情報公開が欠かせない。
 プルサーマルの推進は、核燃料の効率的な利用と放射性廃棄物の発生抑制を目的に1997年に閣議了解。原発の使用済み核燃料に含まれるプルトニウムは核兵器の材料にもなり、プルサーマルなどで消費し、余分に持たないことが国際ルールになっている。
 日本では関西電力などが先行して本格稼働するはずだった。だが99年に英国で加工中の関電高浜原発(福井県)用のMOX燃料に検査データのでっち上げが発覚、東京電力のトラブル隠しも相次いだ。電力業界への国民の不信は根強く、計画は中断した。電力事業連合会は来年度までに全国の原発16〜18基で実施する目標を掲げていたが、今年6月に目標を5年先送りした。
 プルサーマルは60年代から世界の60基近い原発で実績がある。MOX燃料特有のトラブルの報告はなく、設計上も、実績面の問題もないとされる。でも玄海原発などは元来、ウラン燃料だけを使うように設計されている。想定外のMOX燃料は核分裂反応が進みやすく、緊急時に核分裂を抑える制御棒の作動を不安視する専門家もいる。
 玄海原発は来月、経済産業省の総合負荷性能検査に合格すれば本格稼働する。何より安全性を重視してほしい。
 もう一つ、核燃料サイクルの「輪」が完結されていないため、見切り発車の懸念をぬぐえない。
 国内で使用済み核燃料を加工する日本原燃の再処理工場(青森県)でトラブルが続き、完成が延びている。これでは自前でプルトニウムを抽出し、適切に使っていくめどが立たない。
 使用済みのMOX燃料など高レベル放射性廃棄物を埋める最終処分場の選定も進まない。プルサーマルと同様にMOX燃料を利用し、核燃料サイクルの切り札とされる高速増殖炉もんじゅ(福井県)は14年間停止したままだ。
 プルサーマルは来年以降、四国電力の伊方原発(愛媛県)や中部電力の浜岡原発(静岡県)でも順次始動する見通しだ。原発を抱える地域は、将来にわたって大きなリスクを背負う。
 新たな試みに踏み出す以上、国や電力会社は安全性への疑問と不安を取り除く努力が一層必要となる。単なる情報公開にとどまらず、わが国のエネルギーの将来像や政策の提示、積極的で懇切丁寧な説明を求めたい。

[京都新聞 2009年11月06日掲載]




神戸新聞|社説|プルサーマル/核サイクルへ不安な船出
http://www.kobe-np.co.jp/shasetsu/0002496940.shtml


プルサーマル/核サイクルへ不安な船出 

 国内初のプルサーマル発電が、佐賀県の九州電力玄海原発3号機で始まった。国の核燃料サイクルが、計画より約10年遅れて回り始めたことになる。

 九電は発電後、出力を段階的に高め、安定性や炉心の性能などを確かめた上で12月上旬に本格稼働させる。四国、中部電力などでも実施許可が下りており、日本は本格的なプルサーマル時代に入る。

 プルサーマルは、原発の使用済み燃料から取り出したプルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)燃料を一般の原発で燃やす方式だ。燃料のウランの節約と、原爆の原料にもなるプルトニウムの消費(平和利用)が可能になるとして、日本は核燃料サイクルの柱と位置付けている。

 しかし、プルサーマルにはプルトニウムを扱うことへの抵抗感が強い。原発の出力低下などに不安も残す。地域への十分な配慮と安全対策が不可欠だ。

 原発から生じたプルトニウムは当初、高速増殖炉で使われるはずだった。理論的に投入した以上の燃料が得られ、「夢の原子炉」といわれる。ところが、研究開発段階にあった高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)が、1995年に起きたナトリウム漏れ事故で止まったままになり、実用化が今世紀半ばまでずれ込んだ。

 その結果、高速増殖炉へのつなぎ役だったプルサーマルの推進が97年に閣議決定され、核サイクルの柱に格上げされた。

 実施が遅れたのは、輸入されたMOX燃料の検査データ捏造(ねつぞう)や電力会社の不祥事が重なったためだが、それを差し引いても前途はそれほど楽観できる状況ではない。

 使用済み核燃料の再処理と国産MOX燃料の製造拠点である青森県六ケ所村の再処理工場がトラブル続きであることも懸念の一つだ。高レベル廃棄物の処理工程で作業のやり直しが続く。近く着工予定のMOX燃料工場も、安全審査にてこずる。

 プルサーマルは欧米などで約40年前から実施され、原発での大きなトラブルは報告されてない。しかし、再処理に要するコストを理由に路線を見直す国もある。経済産業省の試算では、地中に埋めて処分するより数倍費用がかかり、燃料のウランの節約効果も期待されたほどではない。

 日本が保有するプルトニウムは30トンに迫り、原爆数千発分。国際的監視が強まるなか、これ以上、増やしたくない事情があるとはいえ、プルサーマル始動には深い霧の中を船出する心細さがつきまとう。

(2009/11/06 09:23)




愛媛新聞社ONLINE プルサーマル始動 国は大きな責任を背負った
http://www.ehime-np.co.jp/rensai/shasetsu/ren017200911073260.html


特集社説2009年11月07日(土)付 愛媛新聞
プルサーマル始動 国は大きな責任を背負った

 とうとうパンドラの箱を開けてしまった。そんな思いがどうしてもぬぐえない。
 プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を燃やす国内初のプルサーマルが、九州電力玄海原発3号機でスタートした。国が強く推進する「核燃料サイクル」は、最終章に入った。
 しかし将来性や安全性をめぐり、批判が根強い国策だ。それだけに政府には、さらに国民への丁寧な説明と不安解消が求められる。
 プルサーマル計画は1997年2月に推進を閣議決定。関西電力や東京電力で実施が許可されたが、その後のデータ捏造(ねつぞう)やトラブル隠しなどで迷走した。
 このため、後発の九州電力が押し出される格好で先頭となり四国電力、中部電力が続く。2015年までに、全国の16から18基でプルサーマルを導入する計画だ。
 そもそも計画推進の背景には、原発で生み出されるプルトニウム蓄積を解消する目的がある。消費できなければ、核不拡散という国際的な流れに逆行するからだ。
 このため、消費推進の高速増殖炉「もんじゅ」を建設したが、1995年のナトリウム漏れ事故で全く展望が開けない状況が続いている。
 こうした経緯があるだけにプルサーマルには国民の間で不信感が根強い。
 国は「リサイクル」を全面に押し出し、地球温暖化対策とさえ主張する。しかしコスト面などから見ても、再利用の有効性は大きな疑問だ。
 使用済み核燃料の再処理費用は、埋蔵処分より数倍コスト高になるという経済産業省の試算がある。1世帯当たりの電気代に換算し、年間600〜840円の増加だ。
 使用後のMOX燃料についても、処理方法は未定。苦しい理屈を積み上げた上で、国民の理解を得ない見切り発車だと言わざるをえない。
 ただ、稼働したからにはミスは許されない。技術的に安全性を担保する前例がないことも、不安を残す。
 炉内では制御棒の挿入などで核分裂を調整するが、プルトニウムはウランよりも中性子を吸収し、核分裂を起こしやすいため制御が難しいとされる。九電は「燃料配置の工夫」を挙げ、海外でトラブルがないことなどで「安全性を確信している」とする。
 しかし、ことさら安全を強調する姿勢は、裏返せば大きな危険と背中合わせという現実を抱える。綱渡りとも言える運転に国民の懸念は深い。
 電力はむろん、暮らしに欠かせない。しかし国民の安心安全も同時に保障しなければならない政府の方針として、プルサーマルは果たして最良の選択肢なのか。
 国は重い責任を背負ったことを自覚すべきだ。





プルサーマル 役者は本当にそろうのか / 西日本新聞
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/132875


プルサーマル 役者は本当にそろうのか
2009年11月6日 10:57 カテゴリー:コラム > 社説

 図らずもトップバッターを務めることになった。だが、後続は大丈夫か。いつ全メンバーがそろうのか。不安がある。

 九州電力は佐賀県玄海町の玄海原子力発電所3号機でプルサーマルの試運転に入った。九電としては予定通りだろう。

 プルサーマルとは、原発の使用済み核燃料から取り出したプルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)燃料をつくって既存の原発で再利用する仕組みだ。

 なぜ、その仕組みが必要なのか。

 「エネルギー資源の有効利用になる」「高レベル放射性廃棄物の発生量を減少させる」「原子力は平和利用に限り、(核兵器に転用できる)余剰プルトニウムを保有しない日本の政策に合致する」

 国や電力業界は核燃料サイクル政策を推進する理由を、こう説明してきた。

 原発反対派からは異論もある。だが、国の政策で最大の問題は誤算続きで計画の大幅な変更が相次いだことだ。

 そもそも九電は先頭打者ではなかった。当初は東京電力と関西電力が先行導入して、その実施状況を見てほかの電力会社が追随することになっていた。

 ところが、関電向けのMOX燃料で検査データの改ざんが見つかり、東電では原発のトラブル隠しが明るみに出て、いずれも計画は中断することになった。

 余剰プルトニウム対策として、国が原発を使ったプルサーマル計画推進を閣議決定したのは1997年だった。

 これも苦肉の策ともいえた。国の核燃料サイクル政策では、高速増殖炉が主役でプルサーマルは脇役のはずだった。ところが、95年に原型炉「もんじゅ」の事故で政策転換せざるを得なくなった。

 こうした過去のつまずきはいまも尾を引いている。九電の玄海原発3号機に続き、来年は四国電力の伊方原発3号機などでプルサーマルが実施される予定だ。

 本当は2010年度までに全国の原発16―18基でプルサーマルが導入されるはずだった。電力各社は今年6月、これを15年度までに先送りするとした。

 一方、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す青森県六ケ所村に建設された日本原燃の再処理工場は、いまだにトラブルが絶えず、操業は遅れている。

 そんな中で、九電が先頭を切って「舞台」に上がった。この後、本当に約束通り舞台に役者がそろうのだろうか。

 国内初ゆえの不安はある。九電もそこは分かっているはずだ。安全第一で作業を慎重に進めるのは当然である。

 むしろ、私たちが懸念してきたのは国のいまの政策が適切かどうかだ。どうしてもうまくいかず、大幅な軌道修正を迫られるようなことはないのだろうか。

 地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の排出削減で原発が見直されている。だが、放射性廃棄物がある。何でも一長一短ある。核燃料サイクルにかかる費用と負担、効果を常に検証し、国民の理解を得る。この手順は不可欠だ。


=2009/11/06付 西日本新聞朝刊=




東京新聞:プルサーマル 誰のための『国策』か:社説・コラム(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2009111102000067.html


【社説】
プルサーマル 誰のための『国策』か

2009年11月11日

 プルサーマル発電の試運転が、佐賀県玄海町の九州電力玄海原子力発電所で始まった。国内初だが、海外では撤退に向かう核燃料サイクル計画は、「国策」として続けていくに足るものか。

 プルサーマルとは、原発で使用済みになったウランの燃えかすからプルトニウムを抽出し、新しいウランに混ぜてもう一度燃やす、燃料リサイクルである。

 本来ならば一九九九年、関西電力高浜原発か、東京電力福島第一原発が「第一号」になるはずだった。ところが、MOX(ウラン、プルトニウム混合)燃料の品質管理データ改ざん問題などで、計画は頓挫した。十年の遅れを生んだもの、それは原発につきまとう、トラブル、隠ぺい、そして不信の連鎖にほかならない。

 玄海3号機は、何とか始動にこぎ着けた。来月には営業運転を開始する。が、不信がぬぐい去られたわけではない。MOX燃料を供給すべき青森県六ケ所村の再処理工場は、トラブルの連続で完成が十七回も延期されてきた。

 使用済み燃料を再利用する「核燃料サイクル」は「国策」という。ただし、発電すればするほど燃料が増える高速増殖炉がその本命だった。しかし、実用化のめどは立っていない。“つなぎ”役のプルサーマルも制御が難しいとされるなど、技術的な疑問は多い。利用できるプルトニウムは使用済み燃料のわずか1%、それ自体が猛毒だ。MOX燃料の価格は、通常のウラン燃料の十倍近い。欧米では“再処理離れ”が進む。

 使用済みMOX燃料の捨て方は決まっておらず、核燃料の「サイクル(輪)」は寸断されている。

 関係者はことあるごとに「安全」を強調するが、住民の不信と不安がくすぶる中で見切り発車したという印象も否めない。それでも先を急ぐのは、核兵器にも転用できる再処理済みのプルトニウムがたまりすぎているからだ。

 来年度にかけて、四国電力伊方原発、中部電力浜岡原発なども、発電開始をめざしている。

 民主党政権下でも「国策」は変わっていない。エネルギー自給率4%のこの国で、政府や電力事業者は「国策」遂行に邁進(まいしん)し、そのために不信を呼んだ。安全確保、情報公開は当然だ。その上で、少し立ち止まって考えたい。安全、コスト、将来性、ライフスタイルなどの面から、私たち消費する側も交えて「国策」を冷静に論じ合い、見直しを図るべきだろう。
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